スクラム向けプロジェクトマネジメントツールを比較した結果 Zube.io を推してみる
Agile なみなさんこんにちは。みなさんは Scrum プロセスを実施するにあたり、プロジェクトマネージメントツールとして何をお使いでしょうか。
最近当社で使い始めている Zube.io を推してみるというエントリです。
Zube.io の話に入る前に、Agile/KANBAN/Scrum なプロジェクトマネジメントツール(SaaS型)についておさらいします。
我々に与えられたおもな選択肢(おさらい)
比較表というほどのものではないですが、使用したことのある主だったサービスを列挙します。SaaS で提供されていないものや、KANBAN でないものは今回選外です。
サービス | 特徴 |
---|---|
Jira | やりたいことは(設定がうまくいけば)なんでもできる。 |
Asana | 優れた KANBAN ツールとして使えるが Scrum 向きではない |
Trello | 人気の KANBAN ツール。Scrum 向きではない |
Pivotal Tracker | 割と厳格な Scrum 向け。使っていたのが2014年頃なので最新の状況は分かっていない |
Targetprocess | 意外に(?)優等生。$20/user という価格がネック |
YouTrack | |
Planio | Redmine ベース。Redmine でできることは基本できるので色々と柔軟。Agile Plugin (独自実装?) 搭載により Scrum をサポート |
GitHub project boards | 簡易 KANBAN としては良いが Scrum 向けではない |
GitLab Issue Boards | GitHub より機能が多いので柔軟な利用ができる。Scrum を回すには工夫が必要か |
ZenHub | GitHub Market Place で見つかるツールではおそらく一番メジャー。最低限の機能でいいなら選択できる。$5/user と価格が良心的 |
issue.sh | Chrome 拡張をインストールすると GitHub の Web UI が強化される的な |
Codetree | 複数リポジトリを1つの画面で横断的に管理することにフォーカスしたサービス。UI がよく Issue Tracker として有用。 KANBAN も使えるが Scrum 向きではない |
物理カンバン | ホワイトなボードこそが真の Scrum Master への道。エディタ界における Vim 的なポジション |
有名所が漏れていたらこっそりご指摘ください。
"Scrum 向け" の定義
おおむね以下の要件を満たすものが Scrum に適したプロダクトであると定義しています(個人の見解です)。
- Sprint の設定ができる(end だけではなく start / end の両方の日付を指定したい)
- Story Point (または Business Value)の指定ができる
- Story Point に基づいた Velocity の測定が行える
- Story Point に基づいた Burn down/up chart が参照できる
- KANBAN UI が実装されている
選定のポイント
今回選定するにあたり以下を要件としました。
- GitHub Issue と 容易に integration できること
- Scrum に向いていること(何をもってかは上述のとおり)
- 複数のリポジトリをまとめて管理できること
- 1つの Scrum チームが複数のリポジトリを管理していくことがあり得るのでこの要件は必須
- できるだけロックインされないこと
- GitHub Issue とは別のところで状態が管理されないほうがよい
- 複雑な設定なしにワークフロー/プロセスを開始できること
結論として、要件を満たすのが Zube.io のみとなりましたので消極的(ということもないですが)Zube.io 推しという結果になりました。
Zube.io とは
前置きが長くなりましたが、Zube.io のはなし。
Zube.io は GitHub Issue の Wrapper として機能する プロジェクトマネージメントツール です。概念としては上述の ZenHub や issue.sh、Codetree と同等です。
料金体系は 4ユーザーまで無料で、5ユーザー以上の場合は $10/user の有料プランを選択することになります。料金の詳細は下記ページを参照ください。
Scrum 向けツールとしての Zube.io
Zube.io は、そこかしこから Scurm イズムを感じる仕上がりとなっています。
Sprint、Epic、Story Point、Burn down/up など Scrum に必要な機能が揃っています。設定項目が豊富なわけではないのですが、デフォルトで充分に使いやすい状態で提供されている点が好印象です。
Scrum プロセスの振り返りにおいて重要な各種レポートを特別な設定なしに取得できます。Burn down はあるけど Burn up はない、というサービスはままあるので、嬉しいポイントです。
続いて pros/cons を掲載します。
pros
- それなりにフォーマルな Scrum プロセスをサポートする。
- GitHub リポジトリの Issue と連動した KANBAN (KANBAN Board) および Scrum用 KANBAN (Sprint Board) を利用できる。KANBAN 上に Card を作成すると Issue にも作成される。
- Card のステータス(Ready なのか In-Progress なのかとか)は Issue のラベルで管理される
- Issue に情報が残っているので脱出しやすさがある。ステータスについても Zube.io 内部管理ではなくラベルという形で記録されているのが安心
- UI が洗練されている。動作が軽快
- 複数リポジトリ対応。Zube.io 上の プロジェクト1つに対し、複数のリポジトリを紐付けられる。Card 作成時にどのリポジトリの Issue とするかを選択可能(どのリポジトリの所属ともせず、Zube.io 上のみで管理することもできる。ただこの場合ロックインになるのでお薦めはしない)
- Pull Request を InReview の Card として作成するといった GitHub Wrapper ならではの細かい気遣いがある
- Burn down だけでなく Burn up chart が見られる
cons
- 読み方が分からない(今度中の人に聞いてみる)
- 開発がアクティブなのかどうかよく分かっていない。Twitter は全然更新されていない
- ブログは 2018年4月に更新されている。サポート用の Slack があるがレスが早く丁寧だった
- 周りに使っている人がいない。います?
- $10/user という価格は特別高くはないが GitHub の課金に On されると考えると費用対効果をどれほど見出せるかにかかっている
- よくある swim lane の設定がそういえばできない
- Slack への通知はできるが最低限の機能。GitHub 本体の Issue 通知とうまく組み合わせる必要があるかも
まとめ - 自然な形で Scrum のプラクティスを実践できるのが Zube.io
Zube.io は機能の端々から、Scrum を良く理解した開発チームによって設計されたプロダクトであることが窺い知れます。既に(フォーマルな)Scrum を実践していて、Issue 管理に課題を感じているようであれば Zube.io は有力な選択肢になるでしょう。
Zube.io のユーザーが増えて開発がより活発になれば幸いです!